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私は叩かれた頬を抑え、静かに父の顔を見上げる。
父は叩いた手を見ながら、ふるふると小刻みに震えていた…
「アナタ!やり過ぎよ!」
母が、机を叩きながら立ち上がる。
その声で、我にかえったようにピクリと肩を揺らす父。
「ぁ……香…その……すまな」
「お父さんのバカッ!もぅ知らない!」
謝ろうと近づいてきた父の手を払いのけ、私はリビングを飛び出した。
「か、香!違うんだ!今のはっ!」
叫ぶ父の声を気にも止めずに、私は階段を駆け上がり自分の部屋へと逃げ込んでしまった。
そして、扉に鍵を掛け、叩かれた頬を抑えながらベッドに倒れ込む。
バフッ…
柔らかい枕に顔を埋める私。
途端に、涙が溢れてきた…
「うぅ……グス…」
お父さんのバカ…分からず屋…
私の気持ちなんて何も解っていないじゃん……
その晩…
私は、溢れ出る涙で枕を濡らしながら眠りに着いた…
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