さようなら、誠様…

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『香は帰っているのか?』 扉越しに聞こえる父の声。 多分、母に話し掛けているのだろう。 その会話に、私は耳を集中させた。 『いいえ。まだ帰っていないわ』 先程の父の質問に答える母。 父が私の存在を確認したということは、つまり 私には聞かれてはマズイ事を話すつもりのようだ… ………やっぱり、聞かない方が… 『……学校には連絡したのか…?』 ……連絡? 『………いえ…まだ…』 『何をしているんだ…!早く「転校」の連絡をいれないと、香の奴…ずっと意地をはったままだぞ!』 その父の言葉に、私は深く絶望した… 込み上げる悲しみ… 沸き起こる怒り… やっぱり…お父さんは私の気持ちなんてこれっぽっちも理解していなかった… …いや、理解しようとしていないだけなのかもしれない…
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