さようなら、誠様…

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泣きそうになるのを必死に堪えながら、私は商店街を歩く。 悲しくなんかない… 悲しくなんかない… 悲しくなんかない… ただ、ひたすら自分に言い聞かせるが、目頭は熱いまま。 少しでも気を緩めれば、あっという間に涙が溢れてくるだろう… この短い期間で得た、たくさんの思い出。 思い出すと泣きそうになる……しかし、忘れようとすればするほど、今までの出来事が頭の中に浮かび上がる。 ………もう嫌だ…辛い…悲しい…泣きたい… ぐっ…と、涙を堪えて再び足を進める。 その時だ… 「香っ!」 ……………え? 聞き覚えのある声に名前を呼ばれ、背後を振り返った… その人物の顔を見た瞬間、私は涙を堪えきれなくなってしまった。
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