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オレの叫び声は届いたのか…
ただ、正面にいる『大切なもの』に届けと叫んだオレの声は、空(くう)を切り、人混みを掻き分けた。
頼む…!気づけ!香!
そう願った瞬間だった…
香はこちらを振り向き、オレに視線を合わせてきたのだ。
……よかった。
「香……よかった!今そっちに行くから!」
心の中で深くため息をつく。
香に近づこうと、人を掻き分けて進む。
諦めなくてよかった…!
今 目の前に広がるこの光景は、オレが諦めずに香を捜し続けた結果なのだ。
徐々に香との距離が短くなるにつれ、安心と喜びの感情が沸き上がってくる。
しかし、そんな感情を打ち砕く言葉が、香の口から吐き出された……
「…イヤだ………こないでっ!!」
「………え?」
ドクリ…
心臓が鈍く跳びはねる…
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