さようなら、誠様…

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……今…何て……… こないで?何がだ? それは 私に近寄るな と言っているのか? そんなバカな事…… 固まったまま、互いの目を見つめ合う。 …! 香……泣いてるのか…? 「………誠様」 香が沈黙を破る。 今にも泣き出しそうな、震えた声で… 「……私…引っ越すことになっちゃいました…」 「え……引っ越し…?」 冗談だと思った。 そんな急に引っ越すなんて言われても、何て返せばいいか解らない… しかし、香の辛そうな顔をみる限り、冗談では無いことを理解する。 そして、香が遠くに引っ越してしまうことも、今の状況でわかる。 少なくとも、簡単には会えない場所まで引っ越すのだろう… 「……そんな!…なんで急に引っ越しなんて…」 「…急じゃありません。夏休みの終わり頃には、すでに決まっていました…」 夏休みの終わり… なるほど、香の様子がおかしかったのは、これが原因だったのか…
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