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「……そういえば、ここでしたよね」
「…ここ?」
寂しそうな笑みを浮かべながら、視線を商店街の外れの道に移動させる香。
「私が、誠様に初めて出会った場所ですよ…」
「……!」
そうか……この場所は…あの時の……
香と同じ方向に視線を移すと、あの時の……香と初めて出会った時の光景がフラッシュバックされる。
あの時は、香が変な奴らに絡まれてて…それで…
「…誠様、私を助けてくれましたよね」
そう…
かなりマヌケな登場をしたな…
「私…嬉しくてっ……!見ず知らずの私を、貴方は助けてくれたっ…!」
泣きそうなのか、声が荒くなってくる香。
それでも、香は唇をきつく結びながら言葉を続ける。
「でも、私っ…!思うんですっ…!…ック!……ヒック!」
我慢しきれなくなった香の目から大粒の涙が溢れ出始める。
そして、香は…
「こんなに辛い思いをすることになるなら……!
私っ…貴方に出会わなければ良かった……!」
ズキッ…
心臓が…心が痛む……
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