さようなら、誠様…

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出会わなければ良かった…! その言葉が、深く心に突き刺さる。 仲間からの思いもよらない言葉。 オレは… 何も言い返せなかった… 「ヒック…!……だからっ…!これ以上私に関わらないで…!」 香… 「これ以上…!優しくしないで…!」 止めろ…! 「これ以上…!」 止めてくれ…!それ以上言わないでくれ…! 「私の前に現れないで下さいっ…!」 ピシッ…! その瞬間、オレの中にあった 何か に大きなヒビが入った… 視界がぼやけ、足に力が入らなくなってくる… ふらりとよろけそうになるのを何とか耐え、ぼやける目で香に視線を合わせる。 何か…何か言って香を止めなければ…! こんな訳の分からないまま別れてたまるかっ…! そう思い、口を開くが… 「香っ!」 「……誠様…短い間でしたが、楽しい時間をありがとう…」 言葉を遮られてしまう… そして… 小さく、消え入りそうな声で香は 「……さようなら。誠様」 そう 呟き、人混みの中に姿を消した。
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