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サァー…
オレ達の真横を、生ぬるい風が吹き抜けていく…
風が吹き終わる頃、ポンタが再び口を開いた。
「…幸せのため。か?香ちゃんは今、本当に幸せを感じてると思ってんのか?」
「……!」
ポンタの口から発っせられた言葉が、香の…別れぎわの香の泣き顔を頭に浮かび上がらせた。
「もし、本当に香ちゃんが幸せならな…」
さらにネクタイを握る力が強くなり、そして…
「本当に幸せなら、泣きながら別れを言ったりなんかしねぇだろうがっ!!」
「!!」
再び、生ぬるい風が吹き抜ける。
静まり返った周囲から浴びせられる視線。
だが、今はそんなもん気にしていられなかった。
目的が変わったから。
香と『ちゃんとした別れ』をする。ではなく、香を『全力で引き止める』だ。
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