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しばらくの間、泣く香の頭をクシャクシャと撫で回していたのだが、ようやく泣き止んだようで、オレの腹から顔を離した。
その時にオレのシャツから何やら透明の糸が伸びていた気がしたのだが…
いや、別に良いんだけどね。
むしろ洗濯しないでおこうかしら?香の鼻汁(鼻水とも言う)付きシャツ。
「落ち着いたか?」
まだ鼻を啜る香に問い掛ける。
「えへへ…大丈夫です。私…変ですよね……何で泣いてるんだろ…」
赤くなった目や鼻のまま、ニコニコと笑う香。
その涙は変なんかじゃない。
むしろ、当たり前の涙なんだ…
この数日間、お前の中に蓄積された不安や悲しみが流れ出ただけ。
流れて当たり前なんだ。
また香の頭に手を乗せる。
すると顔を赤らめながら、また「えへへ」と笑うのだった。
「あっ……誠様の服…鼻水付いちゃいました…」
その鼻水が付いたと思われる場所を、オレに分かるように広げて見せてくれた。
「ごめんなさい……洗って返しま…」
「いや!ダメだ!このままでいい!」
額にでも入れて飾っておくかな…
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