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大黒柱……ね。
確かに、大黒柱ってのは一家のトップたる存在な訳だから、間違ったことを言っているとは思わない。
でも、それで娘を泣かせてたら元もこも無いんじゃないだろうか?
家族を守るため、いつまでも幸せな家庭を保つために決めたルールで、娘に不幸な思いをさせていたら意味が無いんじゃないのか?
皮肉なもんだ…
家族を幸せにと頑張って働いた結果、逆に悲しませる事になるなんてな…
「……? どうかしましたか?誠様?難しい顔をして…」
自分でも気がつかないうちに、顔に出てしまっていたらしい。
香が心配そうに尋ねてきた。
「…いや、大丈夫。何でもないんだ。何でも…」
精一杯の作り笑いを香にむけた。
鏡を見なくても分かる…
今、オレの笑顔は引き攣っているだろう……
「……全然大丈夫に見えません。何を悩んで…」
香が言いかけた、その時だった。
ガチャリ
玄関から、扉の開く音がしたのだ。
どうやら、帰宅されたようだ…
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