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リビングにいた全員が動きを止め、玄関の物音に耳を澄ます。
スッ…スッ…スッ…
壁を隔てて微かに聞こえる足音。
それは徐々に大きくなり、確実にこちらに近づいてくるのが分かった。
そして、足音がリビングの前で止まった…
ガチャン!
少しだけ荒っぽく開かれたドアは、勢いを殺せずに壁に激突、鈍い衝突音がリビングに響き渡る。
「か、香…!帰っていたのか!よかった!」
少々荒い登場をした人物は、持っていた鞄を床に落とすと、「よかった!よかった!」と呟きながら香を抱きしめるのだった。
「お父さん……ごめんなさい…心配をかけて…」
「いいんだ…!お父さんの方こそ悪かった……すまない、香…!」
その光景を見て、オレは心底安心した。
オレはこの人を誤解していたようだ…
ただ、自分の都合だけで家族を振り回すような人じゃなかったんだ。
きっと後悔しているんだろうな…
「うっ……ズルッ………グシュ…!」
そんな感動のシーンを見てか、オレの真横で1人 号泣するポンタがいた。
流れ出る鼻汁を素手で拭き取るもんだから、鼻汁があらゆる方向に広がって顔面がエライことになっちゃってる。
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