本当の気持ち

55/59
前へ
/620ページ
次へ
危うく叫びそうになるのをなんとか抑え、心を落ち着かせる。 それにしても…お父さん、溜めすぎです。 流石の私も手が出そうになりました。 でも、我慢しました! 手を出したら負けのような気がするからです。 でも、そろそろ言ってくれないとヤバいですよ? 本当に顔にビンタしますからね? そして、ついに父の口が開かれた。 「1週間に1度、必ず父さん達に電話をしなさい。ただし、「寂しい」とか「辛い」といったような電話をしてくるようであれば、お前とは親子の縁を切る。分かったな?」 強い目で、私と目を合わせる父。 さらに、父は話を続けた。 「それなりの覚悟を決めて、一人暮らしをする道を選んだんだろう?だったら弱音なんか吐かずに、自分で決めた道を進み通してみせなさい。 ただ、分からない事や悩みがあるのならば、すぐに私達に相談しなさい。教えられることは、全部教えよう。 これが、父さんからの条件だ。いいか?」 そう言って、私の頭に手を置いた。 私は、良い両親に恵まれた。 この時ほど、そう感じた事はなかった。
/620ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46312人が本棚に入れています
本棚に追加