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そして美玲が右手をゆっくり前に出した。
その瞬間、オレは体制を固め、つま先にグッと力を込めた。
開始合図と同時に前に出る!速攻だ!
ビビるな…恐れたらそこでオレの負けは確定する…!
ドクリ…ドクリ…
鈍く心臓が脈打つ中、オレは耳に意識を集中させる。
合図が聞こえた瞬間、前に突っ込む!
そして…
「始め!」
美玲の声が道場に響き渡った。
その合図にコンマ数秒遅れて、オレはつま先に全ての力を集め、レイに向けて突っ込んだ。
グングンと距離が縮まっていく…
そこからのオレとレイの動きはスローモーションとなった。
オレの右拳がレイの顔面に接近するが、レイはまだ動かない。
1cm…また1cm……オレの拳は確実にレイに向かっていた。
そして、その拳がレイの鼻先まできた瞬間、オレは勝ちを確信した。
これは当たった。と…
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