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「……あぁ…約束は約束だ…」
痛むわき腹を押さえながら、オレは道場の出口へと歩き出す。
「誠っ!」
美玲の叫ぶ声が道場に響き渡る。
それと同時に足音も近づいてきた。
美玲が走り寄ってきているのか…
「来るなっ!」
「…っ!」
そう叫ぶと、後ろから聞こえていた足音はピタリと止まる。
…そうだ。来るな…来ないでくれ…
そして、無言のままオレは道場の扉を開け、その場から逃げるように立ち去った…
薄暗い廊下を走り抜ける…
「……ちくしょう!」
負ける事がこんなにも悔しいことだとは思わなかった…!
オレは込み上げてくる涙を袖で拭い取りながら、自分の部屋へと逃げ込んだ。
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