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どうしようもなくなったこの状況…
もう力任せに暴れてみるしか、方法は残ってはいなかった…
しかし、やはりワイヤーが緩まる気配はない。
それどころか、さらにキツく締め付けてくる…
しまいには手首の皮が破れ、血が噴き出す始末。
それでも私は力の限り暴れ続けた…
「はぁ…はぁ……」
結局、ワイヤーが切れる事はなかった。
変化があったとすれば、私の手首くらいか…
見るも無惨な姿になっている…もう痛みすら感じない…
「あれぇ? 気が付いてたの?」
ひょっこりと姿を現した銀髪の男。
相変わらず顔は笑っているが…イヤな感じはムンムンと伝わってくる…
「あ、手首ケガしてるじゃん。ずいぶんと暴れたみたいだね」
「…うるさい。目障りだ、消えろ」
と、睨んではみたが、男は全く動じない。
それどころか、クスクスと笑い始めた。
「流石は草鈴家の一人娘、この状況でいい度胸だね。ま、そんなんじゃオレはビビらないけどねぇー」
人をバカにしたように、ケラケラと笑い出す。
コイツ絶対シバいてやる!
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