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「このっ…! 返せ!」
携帯を取り戻そうと、反射的に体が動いてしまう。
ギシリとうめき声を上げるワイヤー。
「ダーメ♪ これを君に返して警察に連絡でもされたら厄介だからねぇ」
またにっこりと笑みを浮かべた男は、私の携帯を後ろに放りなげる。
カシャッという嫌な音と共に、コンクリートに叩き付けられる携帯。
「貴様っ…!」
「まぁまぁ、そんなに怒らなでってば。お詫びに、君のフィアンセを呼び出しておいてあげたからさ♪ もうじきこの場所に来るんじゃない?」
呼び出しておいた?
誠をここに?
何故? 決まっている。私を人質に誠をリンチするつもりだからだ…
コイツには手下がいたな。
私が見たのは1人だけだったが、それだけではないハズだ…
恐らく、あと数人はいるだろう…
全員でかかれば誠を倒せるとでも思っているのだろうが、それは大きな計算違いだな。
たかが数人のチンピラ共が、誠に指1本触れることは出来ないだろう。
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