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ガクガクと足を震わせながらこっちに向かってくる誠。
額から流れる血もさっきより多くなっている気がする…
「お、おい…誠 血が…」
「黙ってろ!今はオレのケガの事なんかどうだっていいんだよ! 急がねぇとヤバいんだ!見ろ!火がそこまで広がってきてる!」
そう言って誠は私のすぐ後ろを指差す。
先ほどまで入り口あたりにしか無かった火が、今ではすぐ傍の木材にまで燃え移っていた。
想像以上に火の浸食が早い…
「よぉし…美玲……動くんじゃねぇぞ…今からそのワイヤーぶった切ってやっからよ…」
「む…私の腕まで切り落とさないでくれよ」
「わかってるよ。だから動くなって言ってんだ」
そして…
誠は大きく斧を振り上げる。
「じゃぁ今からやるけど…ミスっちゃうかもよ?止めとくか?」
「ふん。バカを言うな。夫を信じられんようでは妻は務まらん。全力でこい!」
「へへへ!上等!」
そんな会話をしながら、私達はニヤリと笑う。
「いくぞ!」
誠は斧を大きく振りかぶった。
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