また、日常へ…

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私がハンカチを取り出そうとする手を止め、誠は右手を天井に向ける。 その指の示す方向を目で追って行くと、3m程の高さの場所に人1りがギリギリ通れそうな小さな窓があったのだ。 しかし、あの高さはどう考えても届かない… 背伸びをしようがジャンプをしようが、身長170cm程の誠では、とても届く距離じゃなかった。 「あぁ…アレか。でもあそこはムリじゃないか? 少し高すぎるんじゃ」 「大丈夫だ。オレがお前を肩車すればギリギリ届くさ」 肩車か。 確かにそれなら届くだろう… だが、もし私が出られたとして…残った誠はどうなる? 1人ではどう足掻こうが絶対に届きはしない。 ………まさか… 「…誠…お前。自分が犠牲になるつもりじゃないだろうな…」 ギロリと誠を睨む。 まさかとは思ったが、誠の性格を考えると、こういった結論を出してしまうような気がした… もし本当にそんなつもりだったのなら… 許さない。絶対に。 「はっ…バカ言うなよ。何でお前の為にオレが死ななきゃダメなんだっつーの。ちゃんとオレも脱出するって…」 呆れたようにため息をつく誠。 そして、ある場所に指を向けた。 誠が指すその先にあったもの。それは… 「脚立?」 「そ。オレは後からアレで脱出する。 とにかく今は一刻を争うんだ。とりあえずお前を先に逃がすから、お前はすぐ消防に連絡を入れてくれ」 「む…」 「ほれ。理解したらさっさと肩に乗れ!時間がねぇ!」
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