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あたしは頭だけになった。首から全て液体になってしまった。
雨音はあたしの頭を、両手で挟むように持った。
そして何かの合図のように、ぱちりと大きな目をつぶった。
「っ!?」
その瞬間、あたしの口から黒い液体が吹き出す。
目からも耳からも鼻からも。溢れて、とまらず流れ続ける。感覚はない。意識も薄くなっていく。雨音の顔が、ぼやけている。
目から流れる黒いものに混ざり、かろうじて透明な涙が流れた。
口はもう溶けて無くなってしまったけど、形にすれば、同じ単語を繰り返している。
“ごめんなさい”
もう無い喉で、叫び続けた。
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