それぞれの目的

4/25
前へ
/74ページ
次へ
  「ごめんなさい。巻き込んじゃって。このことを知ったのが、如月君だけだったから、あたしはここに来たんだと思う。……本当にごめん」 俺が意味もなく教室に残っていたことに問題がある。木下さんのせいじゃない。 「誰も予測できなかったことだし、木下さんは謝る必要ないよ」 ただでさえ、混乱してるんだろうし。 「……っありがとう」 木下さんの声は、ぱあっと明るくなる。持ち前の明るさでなんとか立ち直ったらしく、少し安心した。 「あと……言いにくいことなんだけど」 また木下さんの声色が暗くなった。 「なに?」 「あたし……この部屋から、出られないみたい」 「……え?」 俺は酷いめまいを感じた。  
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加