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真っ白な長い廊下をたくさんの人達がせわしなく行き来する。
携帯電話で大声で話しながら走る人、大きな板を運ぶおそらく徹夜明けと思われる人、綺麗なドレスに身を包みすれ違う人たちに会釈しながら歩く人。
そう、ここはあるテレビ局の中。
私、白倉奏美(しらくらかなみ)は廊下の隅で電話をしていた。
周りが騒々しいためなかなか聞き取れない。電話とは反対の耳を塞ぎながら少しでも静かな場所を探しうろうろしている。
私が、なんでここにいるのか?
私は女優でも歌手でもタレントでも、ましてやお笑い芸人でもない。
私はふつうの25歳の女の子。
普通がどういうものなのかはわからないし、『女の子』と呼んでいいのかも疑問だけれど、とにかく芸能人ではなく、そのマネージャーをしている。
事務所との電話が終わり、携帯を閉じたその時、3つ先の楽屋のドアが開き大声で私を呼ぶ声がした。
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