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楽屋のドアを閉め、ゆっくりと息を吐いた。
…どうしよう。
何て説明すれば、本当のことを言わずに浅田さんは納得してくれる?
少し考えたけれど、何も思いつかなかった。
そして、また嘘を重ねていくのかと思うと全身の痛みが増してきた。
次に楽屋に行くと、浅田さんは私のことを“かなちゃん”ではなく“マネージャー”と呼ぶようになっていた。
仕事の話以外会話もしなくなった。
というより、私が話し掛けても「あぁ」や「へー…」としか言わず素っ気なかった。
無性に寂しかったし、これではいけないと思ったけれど、昨日あったことを隠し通すためには仕方ないと思った。
何よりも、浅田さんが傷つかないために。
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