きりんの暮らし

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「あっ岡さん!!おはようございます。まぁ…いつもの事ですよ…」 「あはは。かなちゃんも大変だな。まったく世話が焼けるやつだ。俺から言い聞かせておくから。」 岡さんはそう言ってニカッと笑った。 岡さんは同じ事務所の歌手さんで浅田さんの先輩に当たる。ロッカーのような服装をしているけれど泣けるバラードで人気を博している。それに最近はバラエティーでも活躍中だ。 「でも…きっと“たか兄に怒られたぁ”って私に泣き付いてくると思います。」 私はその光景を思い浮かべてまた小さく溜め息をついた。 「あははは。確かに。でも、かなちゃんじゃないとあいつの面倒は見切れないから見捨てないでやってよ。じゃあ、今日の収録よろしくなー」 岡さんはそう言いながらちょうど来たエレベーターの中に入り手を振った。 そして扉がゆっくり閉まった瞬間、再び私を呼ぶ浅田さんの声が聞こえた。
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