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「そうだね。晃なんて情報屋の仕事ばっかりだから、余計だよね」
「………」
晃が、呆れた親のような目線で僕を見ていた。
…なんだろ。僕が間違ったことを言っただろうか。
「…お前と俺の夏休みの共通点は?」
「共通点?」
晃の問いに、ますます僕は頭にクエスチョンマークを増やした。
僕と晃の夏休みの間の共通点と言われても、思いつくのは夏休みの課題や様々なトラブル。あとは………あ。
「夏祭り」
「…そうだな。夏祭りでお前、誰といた」
「そっ、それは…神楽さんと…」
自然とひそひそ話になった。もしこんな会話をクラスの誰かが知れば僕は一瞬で縛り首確定だ。
「でも、神楽さんと晃がどういう…」
「違うっての。俺は誰と一緒に居た?」
すぐに晃の言いたいことを察した僕は、反射的に。
「あっ、可奈むぐっ!?」
いきなり晃が僕の口をその広い手のひらで塞いだ。
「ボケ! 俺をこの場で火炙りにしたいのか」
「ごっ、ごめん」
晃が可奈子さんに好意を寄せているのは僕や神楽さんしか知らない。前準備もなく、このことが漏洩したら、晃だって対処する間もなく私刑行きだ。
「だから、もう分かるな。俺が言いたいこと」
「…うん」
つまり晃が言いたいのは、大事な人と一緒に居ると、どんなに長い時間も短く感じてしまうということだ。
なんとなしに晃の感想に肯いた。
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