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「だ・ま・れ。課題は俺が回収する。で西岡先生に変わり、別の先生が来られた」
担任が出席簿で、教卓の机を叩く。
どうやら、その新しい英語担当の教師が来ているらしい。
(晃はどんな人が来たか、知ってる?)
(……まあ…な)
晃にしては歯切れの悪い返事だった。
前にメリアさんが来た時とは違う。相手を知っている故に言葉を濁した。そんな返事だった。
「じゃあ紹介するぞ。どうぞ」
担任の呼びかけに応えるように、再び扉が開く音がした。
皆、どんな人が来たのか興味津々で見ている。
「失礼します」
入ってきたのは、長身の男性。
キリッとした表情と欧州人のような彫りのある顔立ちは女生徒からピンク色の悲鳴を上げるに十分過ぎた。
だが僕やメリアさん、晃は声も上げず、入ってきた男性を見ていた。
いや、正確には声も上げれなかった。
だって、入ってきたのは……。
「ご紹介に預かりました。ベリス・クエンティオルです。今日から西岡先生が戻られる間ですが、皆さん、よろしくお願いします」
担任の横に並んだベリスが深々と頭を下げて挨拶した。
ベリス。
メリアさんと同じ紅種。それも対特に所属する狩人が、どうしてこの学校に来て教師などをしているのだろうか。
唖然として声さえ上げれない僕を、教卓に立つベリスが、一瞬こちらを見て、笑った。
「というようにベリス先生はイギリスの生まれだが、日本で長年生活されている。こら女子、いきなりメアド交換しようとするな! 群がるな!」
担任が煙草の煙を払うように、ベリスに接近していた女生徒を払う。
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