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｢綾乃さん、こちらですわ｣
友人達に誘われ案内されたそこは、清楚ながらも品格を漂わせる、いかにも高級そうなイタリアンレストラン｡
ドアが開くと、さり気ない心地の良い音楽が流れ出す。
客は相応な身なりの人たちばかりで、皆それぞれに食事や会話を楽しんでいる。
どちらも程よいボリュームで耳に優しく響き、それがまた良い雰囲気を醸し出していた｡
｢こちらのお店、最近見つけましたのよ｣
颯爽と前を歩く、彼女は上條さやか｡ 28歳の若奥様｡
後頭部でまとめ、縦ロールを施した、胸まであるライトブラウンの髪…純和風の顔立ちはナチュラルメイク。
スレンダーな体にぴったりの、本日のコーディネートは全身シャネル｡
奥で待つもう一人は、伊集院蘭子｡
さやか同様に、スレンダーで地味目な顔立ち｡
三人の中で一番若く、真ん中分けの、ゆるくウェーブをかけた短い髪型が似合う25歳｡
彼女も又、上から下までブランドづくめ｡
(二人共、悪い人では無いのだけど、ちょっと、苦手……)
密かに苦笑いがこぼれる｡
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