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その日も宮内先生は俺を家まで送ってくれた。
家の玄関で勇真とすれ違う。
「あれ…?兄貴出掛けるの?」
「また、こないだの女だ…嗚呼めんどくさい…女ってのは…」
兄貴は俺と違って髪質が猫っ毛だ。
色素が落ちて茶色くなったふわふわの髪の毛は動くだけでふわっと流れる。
うっ…寒いな…
勇真は寒いのも嫌いだが汗をかくのも嫌いなため夏も嫌いだ。
まぁ。性行為で汗をかくのは平気なんだがな…
「こんばんわ。お兄さん」
「…………?…失礼ですがどなたですか?」
にっこりと笑顔を向けたその男は自分に似ていた。雰囲気こそ違うが男は自分に似ていた。
「しょう太くんの担任のものです」
あ……そういえばしょう太の奴が言ってた俺似のやさ男がいると言っていたな…
「宮内先生ですね?弟を送ってもらってありがとうございます。」
「いえ…お兄さんこそ私の名前を覚えてくださって」
「……あれ?兄貴…と先生ぇ!?」
「どうしたんだ?こんな時間に…」
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