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私は一連の出来事に思考がついてゆかず
このことを葵に言うべきか悩むも何故か少年の事を誰にも進言できなかった
そうこうしているうちに夜は更け銀色の月が天空に姿を現す時刻となる
私の部屋には葵がいる、私は咄嗟に葵に偽りの言葉を紡いでしまう
「あっ・・葵、私はもう床に休みます。何故か今日は眠いのです」
本当は眠くなどなかったが少年が訪れた時に
葵がいては騒ぎになると思い私は葵を急かすように部屋から
出て行ってもらうと灯台に立つ蝋燭の明かりを消すと
同時に訪れる漆黒の闇、風に木々が揺らぎカタカタと小さく襖が
音を鳴らすその音に紛れるように庭先で小石を蹴る音がし
私は簾を開き庭先を見渡すも人影はなく気のせいと思い簾を卸した瞬間
、背後に気配を感じ振り返れば
月光にぼやけるように少年の姿があった
「よう、待ってってくれたのか?小夜殿」
少年は喉の奥から声を出すように笑って見せ
私はむぅと頬を膨らませ
「待ってなどおりませぬ」
嘘。心の中では期待していた
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