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華美な刺繍が施された赤色の内掛けは歩くだけでも
人目を引く
「似合ってはいるがな?美しい姫様には」
突然放たれたその言葉に私はどうしていいか分からず
俯き頬を赤く染める殿方と夜更けに出歩くなどない私には
初めての経験ばかりであった秋人はそんな私の様子に気付いたのか
私の手を取ると微笑みを浮かべ
「とりあえず、着物調達。知り合いが近くにいるから」
私は秋人に手を引かれるまま薄暗い夜道を二人で歩く
私の胸は煩い程に声を上げていて繋がれた手は
二人の熱なのかそれとも私だけの熱なのか?
とても熱くなっていて躰の奥がジンジンとするような
擽ったいようなそんな感覚に襲われていた
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