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空は絵具を溢した様な澄み渡る青色に染まり
黄金色の光放ち天空に花を添える
縁側に座を組み短冊を左手に細い筆を右手に持ち自然の声に耳を傾け
詠を読む少女。
名前は香月小夜この大名家の姫君
美しく腰辺りまで及ぶ長い黒髪、陽のかげりさえ見えぬ白い肌
年の頃は15になったばかりのこの姫君。
その美しさ故に輿入れ先の申し出は後を絶たない、
世は江戸末期。年の頃13~15歳になれば輿入れするのは当然の習わし、
小夜もまたその習わし故に見もせぬ相手と婚姻を結ぶことになっている
小夜は気質がおっとりしているのかそれともそれを運命として受け止めているのか
自分の輿入れ先が決まっているにも関わらず
日ごと太陽が昇りそして沈み月が昇る穏やかでゆったりした時間の流れに
ただ身を任せ世の中のことなど知らない日々を過ごしていた
小夜にとっての世界は鳥かごのようなこの広いだけのお屋敷、
小夜はこの世界でなにひとつ不自由のない生活を与えられており
小夜自身も不自由に感じることはなかった
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