63人が本棚に入れています
本棚に追加
****
くぅー予想通りの大和撫子だ!
その二人のやり取りを少し遠くの席で窺っていた生島凜子は拳を握りしめた。
司のやつめ、私がおとこだったら!
見つめる先には、緊張が解れたのか楽しそうに会話をする二人の姿が見えている。生憎、何を話しているかまでは聞こえない。
凜子が出歯亀みたいな真似をするには理由がある。
窓際の席で話している野上司と凜子は同期入社の同僚である。かといって、司が好きだからデートを邪魔しに来たわけでは断じてない。
これは、凜子の依頼したことなのだ。
凜子は数ヶ月前、携帯のサイトに面白半分で“男”で登録をした。別に、出会い系とかではないし、サイトを使うだけの目的なら支障はなかったのだ。
だが、二ヶ月前。ふと足跡を追った女性からの書き込みで、その女性と親しくなる。それが……コスモスという名前の女性だった。
最初のコメントを投稿しよう!