愛は身勝手

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「あぁー…、だりぃ…」 あんまり一人で買い物なんてしないから、気が乗らない。 ちなみにいつも付き合ってもらっている葵は彼女と約束しちゃったとか。もうめんどくさいし行かなくていいか、なんて思ってたけど明日は友達の誕生日だから、仕方なく重い腰を上げてここまで来た。 ちくしょー、葵のバカ。何だよ彼女とか。ずりぃ。俺なんてついこの前フラれたばっかだし。 トンッ 「あ、…」 フラフラと歩いてたら、金髪兄ちゃんの肩にぶつかってしまった。ヤバいと思って見上げたら、めっちゃ目つき悪くて筋肉あって喧嘩強そうな兄ちゃんだった。思わず身体が強張る。 「…、すいません…!」 必死に絞り出した声は虚しくも裏返ってしまった。金髪兄ちゃんは、何にも言わないでじーっとこっちを見ている。しかも何か鼻に巻いてるし。まずい。今日は葵いねーし、ほんと無理。ヤメテ。 「………エンジェルだ」 「は?」 聞こえてきたのは俺より低い声……いや声っつーか、こいつ何言ってんの?エンジェル?は?組の名前? 「あの、もしかして天使さん?」 「はい?」 天使さん?え、ヤクザ用語?どうでもいいけど、何でそんな気持ち悪い(あ、言っちゃった)笑顔浮かべながら聞いてんの?もしかして頭おかしい人? 「…知りませんけど、多分エンジェルさんじゃないです」 「あ、あの、お名前は…」 「俺の?」 「よければ…」 「松本ルキ、っすけど」 「ルキさん!」 何でもいいけど、こいつ気持ち悪い!なに手握ってんの!気持ち悪い!けど何か怖いから離せない! 「好きなタイプは…」 「?…ギャルですね」 「俺、金髪です」 「いや見てわかります」 頭おかしい人だよこいつ。最悪…、葵が一緒にいてくれたらこんな気持ち悪い奴に絡まれなくてすんだのに。つか手離せよ。  
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