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今日も真っ暗な部屋の片隅で、体育座りの形を取っている。
数日くらい前までは、引きこもりの気持ちなんて物は一切分からなかったが、ここ数日はよく分かる。
気持ち悪い。
部屋から出ようとするだけで吐き気がする。
何処にも行きたくないんじゃなくて、何処にも行けないと言う感じ。
引きこもって三日目の昼。
しかし、気持ちは分かったが、俺の場合、他の引きこもりとは多分原因が違うと思う。つか、他の引きこもりを知らないから断言は出来ないが、俺の場合はかなり特異なはず。
その原因は、見たくもないから机の引き出しの奥底へと仕舞っている。
もう一度言おう、引きこもって三日目の昼だ。
「ちーす、生きてっかぁ?」
ノックという礼儀ををすっ飛ばし、軽口を叩くように誰かが部屋に侵入し、そのまま窓側に向かった。
「昼間のに薄暗いな、カーテン開けるぞ」
と、またしても部屋の主である俺に了承を取らずに勢い良く、サッとカーテンを開けると眩し光が射し込んできた。
『眩しい』を通り越し『痛い』と感じてしまう程久しい日差しは部屋全体を明るくし、勝手な侵入の姿を俺に認識させた。
「藤村……か」
「よう、久し振り。何部屋の片隅で体育してんだよ」
それは、三日振りの会話だった。
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