締め切り

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「コーヒー、温め直しますか?それとももう片付けていいですか?」 「……君は」 桜井が立ち上がり、俺の胸ぐらをそれほど強くない力で掴む。 「……君は優しすぎる」 「何を弱気な事言ってるんですか」 「違うよ……。本気でそう思ってる」 これは俺の知ってるこいつの顔じゃない。 いつも余裕ぶって、強引に物事を進めていく。 それがこいつじゃなかったか? 「らしくない」と一言言うのは簡単だが、それでこの人がどれだけ傷つくのかも想像つかない。 俺にはわからない事だらけだった。
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