CHAT ROOM

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カチ。 部屋に小さな音が一つ響いた。 軽い軽い音──クリック。 僕は、真っ暗な部屋に一人、パソコンの明かりだけ浴びて、確かに存在していた。 実際……自分が勝手に存在していると思っているだけで、本当はとうの昔に死んでいるのかもしれないが。 どうでもいい話だ──僕なんて、所詮その程度の存在なのだから。 “零さんが入室されました” 画面上に映し出される、なんの人間味も無い、綺麗な明朝体の文字列。 零──それは僕のハンドルネームであり、そして僕自身でもあった。
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