1

4/11
前へ
/172ページ
次へ
いつもそう。 私の傍には、みんな1秒でも多くはいたくないって思ってる。 近づくのだってみんな嫌々。 “言わなきゃいけないことがあるから仕方ない、近づいてやるか”、って感じ。 そんなに嫌なら来なくていいのにさ。 こんなことも、もう慣れっこ。 今頃私がいなくなって、汐莉はホッとしているだろう。 そんなことを考えながら、私は地下のロッカーに向かう。 「あ、友慧。」 ロッカーに教科書をしまい終えたとき また声をかけられた。 「…美穂。」 この子は戸崎美穂。 他の子とは雰囲気が違い、明るくて親しみやすい子だ。 この大学で私が唯一話が出来る人。 「大丈夫?友慧。何か顔暗いよ?今日は、この後バイト?」 「…うん。」 「そっか、頑張って!じゃまた明日ね!バイバイ♪」 美穂はそう言って笑顔で私に手を振った。 私も振り返すと、大学の出口を目指して歩き出した。  
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加