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【Scene6】
輪切りにされた漬け物のキュウリを箸で摘み、覗き込むようにしてキュウリの表と裏を確認してから、晃は口に入れる。
何に疑心暗鬼になるのやら、変な癖の持ち主だな。
カリッカリッと心地の良い音を立てながら、晃はグッキーの恋愛を心配する。
「でもさ、グッキーも寂しいよな。自分の誕生日に、自分で幹事をしてメンバー集めてるんだぜ。やっぱ彼氏いないのかな」
「寂しいかどうかは本人に聞いて見るとして、グッキーに今現在彼氏がいないのは明確だな。わざわざ俺や晃を呼ぶんだからさ」
「だからだよ!」
アメリカンドラマの裁判官よろしく、堅く握った拳をバンバン叩いて晃は続ける。
「源も承知してると思うけど、グッキーは決して美人に分類されない。でも、笑顔が素敵な女の子じゃないか」
そこで立ち上げり、両腕を大きく広げる。
「グッキーはもっと幸せになっていいと思うんだよ。あんな一生懸命な女の子なかなかいないぞ」
今度は右手を左胸に被せる。
「もっと、もっと恋愛にも一生懸命になっていいじゃないか」
「だったらオマエが付き合え」
あまり音が鳴らない茄子の漬け物を噛みながら言ってやった。
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