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「あ、壘ちゃん!おはよう!!」
「うん、おはよう!…あ、ごめんね、邪魔…しちゃったかな…?」
「う、ううん、全然!そっかあ~、壘ちゃんも同じ学校なんだね!」
「うん!また三年間よろしくね!!」
「うん!よろしく!!」
今挨拶したのは河瀬壘ちゃん。中学の時からの親友で、私と桂杜君の恋を最初からすべて知っていて、いろいろな恋の相談に乗ってくれているとても頼りになる子だ。
でも、そうか。壘ちゃんが高校一緒だったのは、私にとってとてもうれしい事実だ。
知らない人ばかりの中で桂杜君の仕打ちに一人耐えることは、きっと不可能に近いから…。
ー入学式終了ー
入学式の後、新しい教室やクラスメイトの紹介、教科書などの配布物を受け取り、その日の学校は終わった。
しかし、私は帰れなかった。
桂杜君にいつもの公園へ連れてこられたからだ。
「なあ、柚梛」
桂杜君が暗い面持ちで私を見つめる。
「な、なに?」
私は、小さく返事を返した。
しばらくの沈黙の後、桂杜君は、顔を伏せて、小さく
「……、やっぱ、いいや…。帰ろう。」
と言った。私はわけがわからなかったが、とりあえず「…うん……」と返事を返して、トボトボ歩きだした桂杜君の後をついて行った。
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