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「…風見 ハクです。家庭的な事情により、転入生としてやってきました」
淡々と告げるのは女子顔負けの白く艶やかな肌に黒のシャツに身を包み、右側だけ白く長い髪に覆われていて、左目は何処か憂いと悲壮をおびている様に見える。
きゃあきゃあと女子達が騒ぎ、男子達もざわざわと騒ぎ始める。
担任が静かにする様に言うが、それでも教室は静かになりそうにない。
少年――ハクの目は教室を見ているのに、硝子越しに見ているかの様な目だった。
「…風見君の席は一番窓側の後ろだからね」
「はい」
コクンと小さく頷き、言われた席へ足を進める。
音を立てずに椅子を引き静かに座った。
HRの終わりを告げる鐘が鳴った途端、お決まりの質問タイム。
「風見くんは彼女居るの?」
「前の学校って私服アリだったの?」
「まだこの学校の事良く知らないでしょ。一緒に見て回ろう?」
女子達が何とかハクの事を知ろうとするが、それでも彼は沈黙していた。
まるで、他人との関わりを拒むように。
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