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糸
子鬼さん、子鬼さん。
こんな所でどうしたんだい。
「アンタ…誰。」
俺は何処にでもいるような蛇の化け物。
「……嘘つき。」
あらら。バレてるみたいだね。
逃げなくていいの?此処は聖域だよ。
「俺なんてもう死んでるようなもんだ。別に命なんて惜しくない。…それに、逃げ切れるとも思ってない。」
子鬼さんは思いの外頭がいいね。
それに、俺に怯えることもない。
気に入ったよ。長年独り身で退屈だったんだ。
その捨ててしまったお前の命を私が拾おう。…おいで。私の手を取れば悪いようにはしない。
「必要としてくれるなら、俺のこの命アンタに預けるよ。……龍神さま」
子鬼はこの時から龍神の物となり、龍神はこの時から子鬼の糸に絡めとられていった。
龍神に従うこの子鬼の糸は、意図は、彼自身にしか知れない。
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