為るようにしか成らない

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☆  週始めの朝。  言っていた通り、彩は裕太の家には来なかった。  ひとりで登校するというのも久々なものだった。彩が登校時に隣にいないというだけで、こうにも景色が違って見えるとは裕太は思ってもいなかった。  なんだか、とても寒い。   「あ……」  学校より少し手前の交差点で、信号待ちをしている岬を見つけた。 「おはよう、珠希さん」 「おはようっ。美波くん」  お互い軽く手をあげて、挨拶。 「えっと、手応えはどう? 昨日の追試」  それとなく昨日のことを訊いてみる。 「うん! 手応えはアリ! みんなのおかげだよ!」  にっこりと笑って岬はそう言った。  良かった――と一応裕太も安堵、そっと胸をなで下ろした。 「それは、良かった」 「まだ安心は出来ないけどね。と一昨日はホントにごめんよ? なんか勝手に帰ってくれ! みたいな感じになっちゃって……」 「いやいや、良いって。またお邪魔させてもらうからさ」 「うん。ぜひぜひ来てよ」  ――みんなでさ、と。 「……おう」  みんなで、か。それが誰を意味しているのかは裕太にも分かった。が、言葉には出さなかった。 「そういえば、喜多嶋くんを追試の時見かけたよ。彼はなんだか『俺は全教科だぁ~』って嘆いてたけど」 「喜多嶋……」  あいつ、進学出来るのだろうか。金にモノを言わせるようなことはしないと良いが……と裕太は果てしない不安を覚えるのだった。
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