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☆ ☆ ☆
さっきの女子はパンツには気付かずに出て行ったのか、部屋の中には見る限りに人の姿は見当たらない。
「……」
流石に不法侵入するわけにもいかないし、したくもない。
このまま電信柱に登って見知らぬ女の子の部屋を覗き続けるのは人間的に問題があるというか、なんていうか、通報されかねないので裕太は一旦地面に降りた。
「どうしようかな……。率直に言うか? 『御宅の部屋にパンツが入ってしまったので取らせて下さい』いや、これじゃあ只の変態だろう……。カラスの説明も付け加えれば大丈夫かな……?」
裕太が頭を抱えながら、その家の玄関先でウロウロしていると、
「あら、家に何か用かしら?」
突然、後ろから声を掛けられた。裕太は飛び上がり、声のした方を見た。
四十代前半の女性で恐らく先程の女子の母親だろう。だが、こんな状態でも慌てず冷静になるのが俺だ、と裕太は自負。
裕太は深呼吸をして、その言葉を口にした。
「御宅のパンツを取らせて下さい!」
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