第一話:始まりは突然やってくる

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生徒の話し声でざわついている廊下を抜け、食堂の前にたどり着いた。 学食を食べるためにカウンターにずらりと並ぶ生徒の横で、バーゲンセールの服を取り合いしているかのような、凄まじいくらい騒ぎあっている場所があった。あそこが俺の目指していたパン販売店である。 なぜこんなに混雑しているのかと言うと、ここのパンは以前、雑誌に紹介されたほどのうまいと評判の売店で、その雑誌を見たみんなが揃って買いに来ているためだ。しかも在庫にがぎりがあるから、みんな必死に取り合いをしている。 とにかく俺はパンを買わないとご飯が無いため、あの戦場のような場所へ行くしかなかった。 俺は朝と同じような深いため息をつき、ずんずんとその混み合う中に入って行った。
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