第一話:始まりは突然やってくる

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「よっし!買えた買えた。」 やっと買えたことが嬉しくて、思わず俺は独り言を言ってしまった。 その後に食堂を抜けて、まだざわついている廊下をぬけ、階段をのぼり始める。 はあはあと息を切らしながら速いスピードで一気に最上階まで駆け上がった。 そして、屋上へと出る扉のドアノブに手をかけ、がちゃりという音とともにドアが開いた。 すると、開けた途端に春の暖かい風が俺の体を吹き抜けていった。 ふぅ、と深い息が自然に俺の口からこぼれた。 そして屋上に出て、右の方に歩いて行き、屋上をぐるりとかこんでいるフェンスにもたれて座った。 う~ん、と背伸びをして、さっき買ったパンの袋から、パンを取り出して、食べ始めた。 ごうごうと空で飛行機の飛ぶ音がして、それを聞きながらパンをゆっくりと食べ、そして飛行機の音がなくなった頃に食べ終えた。 その後、桜まじりの風を全身でうけながら、しばらく俺はぼーっと桜が舞う空を眺めていた。 そうしているうちにだんだんと睡魔がやってきて、かなり眠たくなった。 俺は我慢しきれなくなり、重い瞼を閉じきった。
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