第一話:始まりは突然やってくる

16/38
前へ
/169ページ
次へ
俺が目を覚ますとそこは光の中だった。真っ白で何もない。ただひたすら白い空間がずっと広がっている。そんな場所だった。 ここ……、どこだよ…。もしかして朝みたいにまた夢の中に入っちまったのかな…。 訳の分からないまま俺はとりあえずあてもなく歩き始めた。 (…………じ………あ………じ、……ある…じ…よ。) すると突然どこかから声が聞こえてきた。俺は一瞬ビクッとして、声のする方へ恐る恐る振り向いた。 そこにいたのは男だった。紺色の短い髪に襟の立った灰色のマントのような物をつけ、所々に黄色の線がある白い服を上下に着てそこに立っていた。 俺はかなりびびった。しかしそれは一瞬のことで、すぐに何故かとても懐かしい気持ちになった。 実際に俺はこの男には会ったことはない。でも、ずっと昔から知っていたような、妙な親近感がわいている。 「あ、あんたは?」 最初に俺が口を開き、男に問いかけた。 「我の名はカル・クレイト。やっと出会うことが出来たな。我が主、エイジよ。」 …誰か、この状況を説明してくれないか?
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加