第一話:始まりは突然やってくる

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部屋中に時計のアラームが鳴り響く。 「うぅ…、うん?」 半分寝ぼけた状態で時計に手を伸ばす。 カチッという音とともにアラームが止む。 眠い…、寝ぼけまなこで時計に目をやる。 8:19分― あれ?こりゃまずくないか? というより、ピンチっぽい…。 落ち着いている時間なんて無いじゃないか!と、とにかく急いで準備しなければ! ハンガーにかけてあった制服一式に急いで着替え、台所に行き、ちょうどよくそこにあった食パンの袋から一斤取り出し、それをくわえ、カバンを持って玄関の戸を開けて家を出た。 まずい…。廊下が静かだ。他の人はみんな行ったらしいな…。 とりあえず急いで寮の玄関の扉を開けて駅に向かって走り始める。 「とにかくヤバいぞ!」 結構マズいな…。 普段そこらを歩いているはずの学生たちも今日は誰もいない。 「うぅ…こうなりゃ仕方ないか…。」 俺はおもむろに自分の腰に下げていた自分の杖に手をかけた。
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