195人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前にだんだんと駅が見えてくる。俺は更にスピードを上げる。
もう普通に走る車以上のスピードが出ている。
だんだんと息づかいが荒くなるのがわかる。飛行は魔力を消費するために、結構な疲労感にみまわれるのである。
だんだんと乳酸がたまっていって、辛くなってくるあんな感じに似ている…。
とりあえず駅に到着。
ぜぇぜぇ言いながらホームに入る。
その時だった。
目の前に止まっていた電車がガコン!という音とともに出発してしまった。
「あ…、あぁ…。」
その場でがっくりと肩を落とす…。
「あと1分早かったら間に合ったのにね。」
駅員さんが隣に来て、苦笑いされた。
「は、ははは…。はぁ…。」
俺は定期券をしまってとぼとぼと駅を出た。
もうすでに電車は行ってしまった。歩いて行くにしても遠すぎるし確実に遅刻する。残された手段は――
俺は自分の握っている杖を見た。そして思いっきりため息をついた後で、杖にまたがり再び空へと飛び立った。
最初のコメントを投稿しよう!