...壱...

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「フクロウに聞け、とは?」 「…元は人間なの。私の〈じーちゃん〉、つまり祖父が死んでその魂が〈じーちゃん〉の飼ってたフクロウに移った。だから〈じーちゃん〉。  テレパシィ、念話で話せるの。でも今は無理、じーちゃんの魔力が足りないから夜まで待たないと。解った?」 本当は全く理解していなかったが、そもそも気になる点がひとつある。 「えーと…違う世界、って何だ?」 「遅いわよ!?」 少女は容赦なくツッコんだ。女の子に耐性のない彼は今にも涙目である。 「何だよ…違う世界って。此処は」 「此処は世界の狭間。貴方はこの森が何なのか知らないの?」 「何って神社の森だろ?」 「…え?何それ」 「は?知らないのか?」 「だから!違う世界!」 「あぁ…、やっと何となく理解した」 「そう?」 「お前が怪しい妄想女だって事をな」 「!…酷い……妄想なんかじゃ…」 サンリアの声色が震える。しまった、普段の兄と言い合う調子で言い過ぎたか? 「分かった、分かったって。そんな泣きそうな顔するなよ…だけど、説明してくれなきゃ」 あぁそうか、と真顔で少女は瞬いた。全く切り替えの早い…とレオンは呆れた。 「んー、どこから説明したらいいのかな…。とりあえず、貴方も座りましょ?」 サンリアが背中の風車を手に取りブンと振ると、レオンは足を掬われ、そのまま音もなく宙に浮き上がってサンリアの隣に座らされた。周囲の空気ごと運ばれたような感覚だ。 「びっ…くりした〜……」 「うふふ、今のが私の剣の魔法よ。風の剣、ウィングレアス。そして貴方が抜いたその剣は、多分、光の剣グラードシャインだわ」 レオンは魔法なんてものを使われると、流石に「違う世界」とやらを信じざるを得なくなっていた。魔法。ゲームや本に出てくる、ファンタジーの単語だ。 「…ちょっと待ってね、今どこから話すか考えてるから…。」 サンリアが剣の台座になっていた老樹を眺めながら黙り込む。二人に午後の陽気と小鳥の囀りが降り注ぐ。まあ、そんなのんびりした気分なのはレオンだけで、サンリアの頭の中は高速回転していたのだが。 やがて彼女は語り始めた。 .
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