依頼

2/6
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
まったく香野と言う人物と一緒に居ると飽きると言う事がない。彼の元には何故か不思議で興味深い依頼が多く来るように思う。それは彼がそうさせているのか、はたまた彼の生まれた星の運命なのか、どちらにしろ私の好奇心と探求心は彼と過ごす事で満たされているように思う。 彼もまた、その不思議で奇怪な事件の解決を楽しんでやっているように思う時がある。謎が解けた瞬間やその答えを説明する時の彼の顔の表情がそれと物語っているのだ。 彼のその類い稀なる観察力と推理力は私も認めるところだが、その敏感すぎる観察力はまれに彼の弱点でもあるかもしれない。 「大野君……大野君」 私は友の私を呼ぶ声でふっと探偵 香野の分析を邪魔された。 声のした方を見ると彼は窓際に立ち仕切に2階の窓から下にある道路を指さしている。私は彼に近付き同じように下を見た。彼はそわそわした一人の中年の痩せた男性を指さして私に言った。 「あの痩せた落ち着きのない男性はこれから私の事務所にお邪魔するみたいだから、お茶の準備をしておいてくれないかい」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!