5/8
前へ
/68ページ
次へ
「じゃあ、高橋の席は窓側から2番目の1番後ろな。」 担任の声に皆が此方を振り返る。 窓側から2番目の1番後ろは、私の隣の席。 最悪だ。女の子の視線が痛い。 席が隣だと云うだけで、何故敵害視されなくてはならないのだろう。 高橋君はそんな女子の思惑を知ってか知らずか、席に着くと私に微笑みかけてきた。 「高橋です。宜しくね。」 柔らかく微笑む高橋君の少し明るめの髪の毛が光に反射して輝く。 私は「どうも。」とだけ挨拶し、目線を逸らした。 此処で間違えたら私の明日は無い。 出来るだけ静かに過ごしたい私は、黙り込むと云う処世術を使った。 高橋君。君に悪意は無いけど、空気を読んでください。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加